平成24年7月14〜15日、医療薬学フォーラム2012/第20回クリニカルファーマシーシンポジウム(福岡:博多開催)において、吉見千明薬剤師が『優秀ポスター賞』を受賞しました。今回の受賞の研究テーマは「外来がん化学療法室における薬剤師による診察前患者面談の導入とその有用性評価」であり、当院の外来化学療法室で薬剤師がチーム医療の一環として実施している業務の評価に関する研究内容です。
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外来がん化学療法室における薬剤師による診察前患者面談の導入とその有用性評価
 当院では2008年4月から外来がん化学療法室に薬剤師2名を専任配置し、安全かつ有効ながん化学療法を提供すべく、医師および看護師と連携して業務を行っている。2010年4月から薬剤師3名体制とし、翌年5月からは患者来院時の採血から診察までの待ち時間を利用した「診察前患者面談」(以下、診察前面談)を開始し、患者情報の収集、副作用モニタリングおよび副作用対策のための処方提案を充実した。今回、診察前面談の有用性評価について報告する。患者指導は全員に実施し、診察前面談実施率は約50%であった。処方提案実施率は診察前面談実施群では非実施群と比べ顕著に高かった。さらに、診察前面談開始後1年間における処方提案件数は開始前1年間と比較して大幅に増加した。提案採択率は94%と高く、提案内容で最も多かったのは制吐対策、次いで末梢神経障害対策、皮膚障害対策となった。制吐対策では、国内外のガイドラインに準じた対策の推進を中心に行った結果、高度ならびに中等度催吐性リスク抗がん剤投与時の完全制吐率が向上した。また、末梢神経障害に対してプレガバリンの処方提案を実施した結果、症状発現率が低下した。さらに、EGFR阻害薬によるざ瘡様皮疹に対してスキンケアとともにミノサイクリンの予防投薬を提案し、症状の改善が確認された。一方、担当医師からは診察時間が短縮された、提案が役立った、等の評価を得た。以上、薬剤師による診察前面談の有用性が明らかとなった。